行政書士ストックビジネス研究所

行政書士の開業ガイド最初の「事業ドメイン(専門分野)」の選び方で、売上が決まる

最終確認日:2026年10月27日(次の見直し:2027年2月)

行政書士の試験に合格して、いよいよ開業。事務所の名前、名刺、ホームページ……準備することはたくさんありますが、売上をいちばん大きく左右するのは「どの分野で仕事をするか」という最初の選択です。

行政書士が扱える書類の範囲は広く、どの分野でも開業できます。だからこそ、 なんとなく選んだ分野で「毎月ゼロから新しいお客様を探し続ける」状態になってしまう先生も少なくありません。 このページでは、公的な数字をもとに行政書士を取り巻く状況を整理し、事業ドメイン(専門分野)を選ぶときのものさしと、単発の仕事を毎月の収入に変える考え方をまとめました。

30秒でわかる、この記事の結論

  • 行政書士は令和6年度末で52,734人。1年で3,298人が新しく登録している(総務省)
  • 同じ分野・同じ地域の競争は年々強くなる。「何の先生か」をはっきりさせることが出発点
  • 売上は「お客様の数 × 単価 × 続く回数」。単発型だけだと、毎月お客様探しがゼロから始まる
  • 分野は市場の伸び・続くかどうか・単価・競合・自分の経験・地域の6つのものさしで選ぶ
  • どの分野を選んでも、法人のお客様の多くは「人が採れない」という悩みを抱えている
  • 入口の分野(許認可・在留手続き)に、毎月続くサービス(採用支援など)を組み合わせると収入が安定する

数字で見る行政書士のいま

登録者は5万人を超え、毎年3,000人以上が新しく加わる

総務省が公表している「行政書士の登録状況(令和6年度)」によると、行政書士の登録者数は次のとおりです。

項目人数
令和6年度はじめの登録者数51,619人
令和6年度中の新規登録者数3,298人
差し引きで登録がなくなった人数(はじめ+新規−年度末の計算)2,183人
令和6年度末の登録者数52,734人

1年で3,000人を超える先生が新しく登録する一方、差し引きで2,000人を超える登録がなくなっています。 「始める人が多く、やめる人も多い」――これが行政書士という仕事の現実です。 続けられるかどうかを分けるのは、資格の有無ではなく事業としての設計です。

行政書士の仕事の範囲

総務省の説明では、行政書士の業務は大きく次のように整理されています。

また、行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)が令和8年1月1日から施行されています。 これから開業する先生は、改正後の行政書士法を前提に事務所づくりを進めることになります。改正の中身は、総務省の「行政書士制度」のページで確かめてください。

お客様の側では「人手不足」が続いている

行政書士のお客様の多くは、中小企業や個人事業主です。そのお客様の側の状況も見ておきましょう。

新規求人倍率2.06倍は、新しく仕事を探し始めた人1人に対して、新しい求人が約2件出ているという意味です。 外国人を雇う会社も増え続けています。行政書士のお客様になる会社の多くが、「人が採れない」という悩みを抱えていることは、事業ドメインを考えるうえで見逃せないポイントです。

開業までの流れ(全体像)

開業の手続きそのものは、都道府県の行政書士会の案内に沿って進めます。ここでは全体像だけを押さえておきます。

  1. 行政書士となる資格を得る(行政書士試験の合格など)
  2. 事務所の場所を決める(自宅開業か、事務所を借りるか)
  3. 都道府県の行政書士会を通じて、日本行政書士会連合会に登録を申請する
  4. 行政書士会に入会する(登録手数料・入会金・会費などの金額は、都道府県の行政書士会ごとに違います)
  5. 登録が済んだら業務開始。職印・名刺・ホームページなどを整える

大事なのは、2〜5の準備と並行して「どの分野で、だれに、何を売るか」を決めておくことです。 登録が済んでから分野を考え始めると、最初の数か月を「お客様がいない」状態で過ごすことになりがちです。

なぜ「事業ドメイン選び」で売上が決まるのか

事業ドメインとは、「だれに」「何を」「どうやって」届けるかという事業の範囲のことです。 行政書士の場合は「専門分野」と言いかえてもかまいません。これで売上が決まる理由は、売上を分解するとよくわかります。

売上 = お客様の数 × 1件あたりの単価 × 続く回数

単発型:毎月、ゼロからお客様を探す

1件ごとに仕事が完結する分野では、「続く回数」がほぼ1回です。 今月の売上を立てるには、今月も新しいお客様を見つけなければなりません。 広告や営業をやめた月に売上が落ちる、という不安定さを抱えやすくなります。

継続型:お客様が積み上がっていく

同じお客様から毎年・毎月仕事をいただける形なら、前の月のお客様がそのまま今月の売上になります。 新しいお客様の分だけ売上が積み上がるので、開業から年数がたつほど経営が楽になります。 これが、いわゆるストック収入(継続収入)です。

つまり事業ドメイン選びとは、「どの書類を作るか」だけではなく、「お客様とどのくらい長くつながれる事業にするか」を決めることなのです。

事業ドメインを選ぶ6つのものさし

分野を選ぶときは、次の6つを順番に当てはめてみてください。どれか1つが飛びぬけているより、全体のバランスが大切です。

ものさし確かめること
1. 市場の伸びその分野のお客様は増えているか。国の制度改正や統計の数字で裏づけがあるか
2. 続くかどうか同じお客様から、更新・届出・相談がくり返し発生するか。手続きのあとに続けて出せるサービスがあるか
3. 単価1件あたりの報酬で、事務所を回せるか。数をこなす分野か、一件を深くやる分野か
4. 競合同じ地域・同じ分野の事務所はどれくらいあるか。検索で上位にいるのはだれか
5. 自分の経験・人脈前職の業界、知り合いの経営者、話せる言語など、自分が「最初の一件」を取りやすい分野か
6. 地域事務所の地域に、その分野のお客様が多いか(建設業・製造業・農業・観光など)。オンラインで全国を相手にできるか

特に見落とされやすいのが2の「続くかどうか」です。 単価が高くても単発の分野だけで事務所を回すと、毎月の売上は営業の量に比例してしまいます。 入口の分野を選ぶときに、「この分野のお客様に、次に何を出せるか」まで考えておくと、事業の伸び方が大きく変わります。

分野ごとの「収入の形」の比べ方

代表的な分野を、「入口になるお客様」「くり返し仕事が生まれるか」「次につながる相談」の3つの目線で並べました。 手続きのやり方や要否を示すものではなく、事業の形を考えるための研究所の見方です。 各分野の手続きの内容・期限は、必ず法令と所管の行政機関の案内で確かめてください。

分野入口になるお客様くり返し仕事が生まれるか次につながる相談
建設業の許可許可を取りたい建設会社許可のあとも更新や毎年の届出など、手続きが続く人手不足が深刻な業界。現場の採用の相談につながりやすい
入管・在留資格外国人を雇う会社、外国人本人在留期間の更新や資格の変更が、在留中くり返し発生する受入れ企業の「採用」「定着」の相談につながりやすい
運送・産廃などの業許可新しく事業を始める会社許可の更新や変更の届出が続くドライバー・作業員の採用に悩む会社が多い
飲食・風俗営業などの営業許可店を開く個人・会社開業時が中心。店舗が増えるとそのたびに発生アルバイト・パートの採用が常に課題
会社設立・法人の手続き起業する人設立時が中心創業期は「最初の社員をどう採るか」が課題になりやすい
相続・遺言個人とその家族一件ごとの単発が中心紹介が紹介を呼ぶ分野。法人顧客とは別の集客が要る
補助金の申請サポート設備投資をしたい会社公募のたびに発生。採択後の報告などが続くこともある成長意欲のある会社が多く、人を増やす相談も出やすい

表を見ると、法人を相手にする分野ほど、手続きのあとに「人の悩み」が出てくることがわかります。 許可を取った建設会社も、在留手続きを頼んだ受入れ企業も、新しく店を開いた飲食店も、次に困るのは「人が採れない」「人が定着しない」ことです。

いま注目の分野:外国人雇用・在留手続き

外国人労働者は257万人を超えて過去最多になり、令和9年4月1日には技能実習制度が育成就労制度に切り替わります。 受入れ企業の側では、許可の取り直しや計画づくり、在留手続きが一斉に動く時期です。 制度の全体像は、当サイトの育成就労制度の移行ガイドにまとめています。

どの分野にも共通する「人手不足」という入口

ここまで見てきたとおり、行政書士がどの分野を選んでも、法人のお客様の多くは人手不足の悩みを抱えています。 そこで行政書士ストックビジネス研究所がおすすめしているのが、入口の分野 + 採用支援という組み合わせです。

採用支援とは

採用支援は、お客様の会社の「人を採る」「人が定着する」をお手伝いするサービスです。たとえば次のようなものがあります。

採用は一度で終わらず、毎月続く仕事なので、月額の契約にしやすいのが特長です。 採用支援のフランチャイズ「採用定着士」の本部によると、1社受注すると月5万円前後、1年程度の契約が多いそうです。 社労士など士業を中心に650事業所以上が加盟しており、行政書士の先生の例もたくさんあります。 採用支援でどう収入をつくるかは、採用定着士の無料セミナー(PR)で確かめられます。

行政書士の先生の実例

※ご本人の了解を得て掲載している個人の成果です。同じ結果を約束するものではありません。

始めるときに気をつけたいこと

開業のときから「毎月の収入」を設計しませんか

入口の分野で出会ったお客様に、採用支援を続けて提供する。単発の仕事を毎月の収入に変える道筋を、くわしくまとめています。

開業1年目の進め方

事業ドメインが決まったら、1年目は次の順番で進めると、売上の土台ができやすくなります。

開業前〜1か月目:だれの何の先生かを決める

2〜6か月目:最初のお客様と、紹介してくれる人をつくる

7〜12か月目:単発を「続く関係」に変える

1年目のゴールは「売上の金額」より、毎月必ず入ってくる売上が、いくらあるかです。 ここが積み上がれば、2年目以降は新しいお客様の分だけ確実に伸びていきます。

よくある質問

Q. 行政書士は試験に受かればすぐ開業できますか?
A. 試験に合格しただけでは業務はできません。都道府県の行政書士会を通じて日本行政書士会連合会に登録を申請し、行政書士会に入会して、はじめて行政書士として仕事ができます。登録手数料や入会金などの金額は都道府県の行政書士会ごとに違うので、開業する地域の行政書士会で確かめてください。
Q. 行政書士は何人くらいいますか?
A. 総務省の「行政書士の登録状況(令和6年度)」によると、令和6年度末の登録者数は52,734人、令和6年度中の新規登録者数は3,298人です。毎年3,000人を超える新しい行政書士が生まれているため、同じ分野・同じ地域での競争は年々強くなっています。
Q. 専門分野(事業ドメイン)は最初から絞るべきですか?
A. 最初から1つに絞りきる必要はありませんが、「何の先生か」が伝わらないと紹介も検索も集まりません。おすすめは、入口になる分野を1つ決め、そのお客様に続けて提供できるサービスを1つ組み合わせることです。単発の手続きだけで終わらない形を、開業のときから設計しておくのが大切です。
Q. 継続収入(ストック収入)になりやすい分野はどこですか?
A. 許可のあとも更新や毎年の届出が続く分野や、在留期間の更新が繰り返し発生する分野は、同じお客様との関係が続きやすい傾向があります。ただし手続きの回数には限りがあるため、手続きとは別に「毎月続くサービス」を持つと収入が安定します。当サイトでは、そのひとつとして採用支援をご紹介しています。
Q. 行政書士が採用支援をしてもよいのですか?
A. 求人原稿づくり、求人サイトの運用、面接や定着の工夫のアドバイスといった採用支援は、行政書士の独占業務ではない一般のサービスです。ただし、職業紹介にあたる行為には許可が必要になるなど、守るべき決まりがあります。また、雇用保険・社会保険の手続きは社会保険労務士の独占業務です。始めるときは、それぞれの決まりをご自身でお確かめください。

外国人雇用の最新の動きは 育成就労制度の移行ガイド、行政の新しい発表は 記事一覧 でお届けしています。

出典

このページの数字は、次の一次情報で確かめたものです(最終確認日:2026年10月27日)。 採用定着士の本部の数字と実例は、本部の公表している実績にもとづきます。

更新の予定:総務省の登録状況や厚生労働省の統計が新しくなったら見直します。次の見直しは2027年2月です。

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