行政書士ストックビジネス研究所

育成就労制度の移行ガイド施行日・施行日前申請・技能実習との違いを、行政書士の先生向けに整理

最終確認日:2026年10月27日(次の見直し:2026年11月)

技能実習制度は、令和9年(2027年)4月1日に「育成就労制度」へ切り替わります。 受入れ企業や監理団体にとっては、許可の取り直し、計画の作り直し、転籍への備えなど、やることが一気に増える時期です。 そして、その「やること」の多くは、書類と期限と人の定着にかかわる仕事です。

このページでは、出入国在留管理庁と外国人技能実習機構が公表している資料だけをもとに、 育成就労制度の全体像と施行までの流れを一枚にまとめました。 後半では、行政書士の先生がこの移行期にどう関われるか、そしてそれを毎月の収入(ストック収入)につなげる「採用支援」の考え方もご紹介します。

30秒でわかる育成就労

  • 始まる日:令和9年(2027年)4月1日
  • 目的:人手不足の分野で、3年間の就労を通じて特定技能1号の水準の人材を育て、確保すること
  • 期間:原則3年(そのあと特定技能1号 → 2号へ進む道がある)
  • 分野:17分野(特定技能の19分野のうち、自動車運送業と航空をのぞく。令和8年7月時点)
  • 監理:監理団体に代わり「監理支援機関」。今の監理団体も許可の取り直しが必要
  • 計画:外国人ごとの「育成就労計画」を外国人育成就労機構が認定
  • 転籍:一定の要件のもとで、本人の意向による転籍が認められる
  • 施行日前申請:監理支援機関の許可は令和8年4月15日から、育成就労計画の認定は令和8年9月1日から受付中

根拠になる法律は、令和6年6月21日に公布された「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第60号)です。 出入国在留管理庁の概要資料では、この改正で「技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度を発展的に解消」し、 「人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする育成就労制度」を作った、と説明されています。

つまり、育成就労は最初から「人材確保」のための制度です。 国際貢献を建前にしていた技能実習とちがい、受入れ企業にとっては「採用」と「定着」そのものが制度の中心になります。 ここが、採用支援を仕事にする先生にとって大きな意味を持つところです。

施行までのスケジュール

出入国在留管理庁と外国人技能実習機構の発表から、日付がはっきりしているものだけを並べました。

日付できごと
令和6年6月21日改正法の公布(令和6年法律第60号)
令和8年1月23日分野別運用方針の閣議決定(新しい分野・業務区分の追加を含む)
令和8年4月15日監理支援機関の許可の施行日前申請の受付開始(外国人技能実習機構)
令和8年9月1日育成就労計画の認定の施行日前申請の受付開始(外国人技能実習機構)
令和9年3月31日この日までに技能実習計画の認定を申請し、施行日から3か月以内に始める計画なら、施行後も技能実習生として入国できる場合がある
令和9年4月1日育成就労制度の運用開始(改正法の施行)
令和9年6月30日施行日から3か月。上の経過措置で技能実習を始められる期限の目安

施行日が近づくほど、監理団体の許可の取り直しと、受入れ企業の計画づくりが集中します。相談が増えるのは「施行の直前」ではなく「いまから」です。 施行日前申請の受付が始まっている今が、顧問先や地域の受入れ企業に声をかけるいちばん良い時期といえます。

技能実習との違い

概要資料とQ&Aから、受入れ企業の実務にかかわる違いを表にしました。

項目技能実習育成就労
目的技能移転による国際貢献人手不足分野での人材の育成・確保
期間1号〜3号原則3年(育成就労計画の期間は3年以内)
監理する団体監理団体(許可制)監理支援機関(許可制・許可基準は厳しくなる)
計画の認定外国人技能実習機構外国人育成就労機構
本人の意向による転籍原則できない一定の要件のもとで認められる
就労開始前の日本語—A1相当以上の試験合格、またはそれに当たる日本語講習(100時間以上)の受講
特定技能1号への移行2号を良好に修了すれば試験免除技能試験と日本語試験(A2.2相当以上)の合格が必要
送出し費用—外国人が送出機関に払う費用は、月給(所定内月額)の2か月分まで。超える分は受入れ機関や監理支援機関が負担
送出国—原則として二国間取決め(MOC)を作った国からのみ受け入れ

受入れ企業にとって特に大きいのは、「転籍がありうる」ことと、「試験に受からないと特定技能へ進めない」ことの2つです。 育てた人が1〜2年で他社へ移ってしまうかもしれない。だからこそ、待遇・職場環境・日本語学習の支えといった「定着のしくみ」が、これまで以上に問われます。

対象の分野と人材の基準

育成就労で受け入れられる「育成就労産業分野」は、特定技能の受入れ分野(特定産業分野・19分野)と原則として同じです。 ただし、国内での育成になじまない分野は対象外で、令和8年7月時点では自動車運送業と航空の2分野が育成就労の対象外です。 その結果、育成就労産業分野は17分野になっています。

出入国在留管理庁の資料で上乗せ基準告示が出ている分野は、次の17分野です。

介護/ビルクリーニング/リネンサプライ/工業製品製造業/建設/造船・舶用工業/自動車整備/宿泊/鉄道/物流倉庫/農業/漁業/飲食料品製造業/外食業/林業/木材産業/資源循環

令和8年1月23日の閣議決定では、新しい分野や業務区分も追加されました。 新しい分野の受入れは、上乗せ基準告示の公布・施行のあと、準備が整い次第始まる予定とされています。

日本語と技能の基準(全体の流れ)

段階日本語技能
就労を始めるまでA1相当以上の試験(JFT-Basic、JLPTのN5など)合格、またはそれに当たる日本語講習の受講—
本人意向の転籍のとき分野ごとに設定(A1相当以上から、特定技能1号に必要な水準までの範囲)技能検定基礎級など(育成就労1年経過時と同じ水準)
育成就労の修了・特定技能1号への移行A2.2相当以上(JFT-Basic、JLPTのN4など)技能検定3級や特定技能1号評価試験など
特定技能2号B1相当以上(JLPTのN3など)特定技能2号評価試験など

分野ごとの細かな基準(転籍の制限期間が1年か2年か、日本語がA1かA2.1か など)は、概要資料の「人材基準及び業務区分」の表に分野別に載っています。 受入れ企業の分野が決まったら、必ずその分野の分野別運用方針・運用要領で確かめてください。

本人意向の転籍(いちばん大きな変化)

育成就労では、外国人本人の意向による転籍(転職)が、一定の要件のもとで認められます。 Q&Aに書かれている主な要件は次のとおりです。

転籍のあっせんは、監理支援機関や外国人育成就労機構、ハローワークが連携して支援するしくみになっています。 民間の職業紹介事業者の紹介による転籍は要件から外れる点は、人材紹介に関わる方は特に注意が必要です。

受入れ企業から見ると、「1〜2年たったら、条件のよい会社へ移れる」ということです。 地方の中小企業ほど、給与・住まい・相談体制・日本語学習の支援で「ここで働き続けたい」と思ってもらえる職場づくりが欠かせません。 これは書類の仕事ではなく、毎月続く「定着」の仕事です。

監理支援機関の許可要件

今の監理団体も、育成就労の監理支援を行うには新たに監理支援機関の許可を受けなければなりません。 Q&Aで示されている主な許可要件は次のとおりです。

外部監査人には、養成講習の受講、監理支援先と密接な関係がないこと、欠格事由に当たらないことなどの条件があります。 Q&Aでは、外部監査人になれる人として弁護士・社会保険労務士・行政書士等(法人も可)が挙げられています。

なお、監理支援機関の許可を受けると、施行日後に技能実習生を受け入れる場合でも、技能実習の一般監理事業の許可を受けたものとみなされ、監理団体の許可を別に更新する必要はないとされています。

受入れ人数の枠

育成就労実施者(受入れ企業)には、常勤職員数に応じた受入れ人数の上限があり、優良な実施者は枠が広がります。 枠は1〜3年目の育成就労外国人の合計で数えるため、同じ年度に上限まで受け入れることもできます。 経過措置で残る1号・2号の技能実習生も人数に含まれます。 また、優良な監理支援機関から監理支援を受ける地方の優良な受入れ機関は、基本人数枠の3倍まで受け入れられるとされています。

施行日前申請の受付状況

施行日前申請は、どちらも外国人技能実習機構が受け付けています。

申請受付開始ポイント
監理支援機関の許可令和8年4月15日介護・工業製品製造業・自動車整備・物流倉庫・漁業を扱う機関は、分野ごとの上乗せ基準告示と分野別運用要領を確認してから申請。公表前に申請した場合は追加の書類が必要
育成就労計画の認定令和8年9月1日分野別協議会への加入の証明、分野ごとの告示基準に合っている証明が必要。インドネシア・カンボジア・キルギス・ベトナム・ラオスからの受入れでは、送出国の公的機関の「推薦状」が必要(一部例外あり)

分野ごとの準備状況(2026年10月27日 確認)

出入国在留管理庁の「施行日前申請」のページでは、分野ごとに準備の進み具合が示されています。 まだ準備中の分野で先に申請すると、追加の書類を求められ、その間は審査が保留になります。

上にない分野は、確認日の時点で「準備中」です。状況は随時変わるので、申請の前に必ず出入国在留管理庁の施行日前申請のページで最新の状況を確かめてください。

技能実習からの経過措置

施行日の時点で技能実習を行っている人や、施行日前に計画の認定を申請した人は、施行後も技能実習を続けられます。 概要資料とQ&Aのポイントは次のとおりです。

そのため、施行後しばらくは「技能実習生」と「育成就労外国人」が同じ職場にいる状態が続きます。 ルールのちがう2つの制度を並べて管理することになり、受入れ企業の事務の負担はむしろ増えます。

行政書士の出番と、採用支援というストック収入

ここからは、制度の整理をふまえて、行政書士の先生がこの移行期にどう関われるかを考えます。 (個別の書類をだれが作成・提出できるかは、行政書士法と各制度の決まりで、先生ご自身でお確かめください。)

1. 監理支援機関の「外部監査人」

監理支援機関の許可には外部監査人が欠かせず、Q&Aでは行政書士もその担い手として挙げられています。 監理団体のすべてが許可を取り直すこの時期は、外部監査人の需要がまとまって生まれるタイミングです。 外部監査は一度きりではなく続く役割なので、継続的な関係になりやすいのも特徴です。

2. 受入れ企業の在留手続きと、移行期の相談

経過措置で技能実習生が残り、新しく育成就労外国人が入り、やがて特定技能1号へ移っていく。 一つの会社の中で、在留資格の変更や更新が何年にもわたって続きます。 申請取次の行政書士として、こうした手続きを「その都度」ではなく「年間を通じて」引き受ける形にできれば、仕事の波が小さくなります。

3. 転籍に負けない「採用と定着」の支援

育成就労でいちばん変わるのは、人が辞められる(移れる)ようになることです。 受入れ企業が本当に困るのは書類よりも、「せっかく育てた人が1〜2年でいなくなる」ことのほうです。

そこで力を発揮するのが採用支援です。 求人の出し方、面接での見きわめ、入社後の定着のしくみづくりは、外国人材に限らず、日本人の採用でも同じように求められます。 しかも採用と定着は一度で終わらず、毎月続く仕事なので、月額の顧問契約の形にしやすいのが特長です。 採用支援でどう収入をつくるかは、採用定着士の無料セミナー(PR)で確かめられます。

在留手続きで受入れ企業とつながった行政書士の先生が、そのまま「採用と定着」の相談相手になる。 これが、単発の申請業務を毎月の収入(ストック収入)に変える、いちばん自然な道筋です。行政書士ストックビジネス研究所では、行政書士の先生が採用支援を始めるための情報を発信しています。 これから開業する先生は、行政書士の開業ガイド(事業ドメインの選び方)もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 育成就労制度はいつから始まりますか?
A. 令和9年(2027年)4月1日に運用が始まります。根拠は、令和6年6月21日に公布された「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第60号)です。施行日より前に、監理支援機関の許可(令和8年4月15日から)と育成就労計画の認定(令和8年9月1日から)の申請受付がすでに始まっています。
Q. 今いる技能実習生はどうなりますか?
A. 施行日の時点で技能実習を行っている人は、そのまま技能実習を続けられます。1号の人は施行後も2号へ移れます。3号へ移れるのは、施行日の時点で2号を1年以上行っている人に限られます。この人たちには技能実習のルールが適用され、技能実習から育成就労へ切り替えることはできません。
Q. 監理団体はそのまま監理支援機関になれますか?
A. なれません。監理団体が育成就労の監理支援を行うには、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があります。許可を受けた監理支援機関は、施行日後に技能実習生を受け入れる場合、技能実習の一般監理事業の許可を受けたものとみなされます。
Q. 育成就労の外国人は、すぐに転職(転籍)できますか?
A. 本人の意向による転籍は、一定の要件を満たしたときだけ認められます。主な要件は、同じ業務区分の中での転籍であること、分野ごとに決められた期間(1〜2年)を超えて働いていること、一定の技能と日本語の試験に合格していること、転籍先が優良な受入れ機関であることなどです。
Q. 行政書士は育成就労にどう関われますか?
A. 出入国在留管理庁のQ&Aでは、監理支援機関に置く「外部監査人」になれる人として、弁護士・社会保険労務士とならんで行政書士が挙げられています(養成講習の受講などの条件があります)。そのほか、受入れ企業の在留手続きや、移行期の相談対応も考えられます。個別の書類をだれが作れるかは、行政書士法と各制度の決まりで確認してください。
Q. 育成就労から特定技能1号へはどう移りますか?
A. 技能の試験(技能検定3級や特定技能1号評価試験など)と、日本語の試験(日本語教育の参照枠A2.2相当以上。JFT-BasicやJLPTのN4など)に合格する必要があります。不合格だった場合は、再受験のために最長1年の在留継続が認められる方針です。

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出典

このページの数字・日付は、すべて次の一次情報で確かめたものです(最終確認日:2026年10月27日)。 制度は動いているため、実務の前には必ず出典元で最新の内容をご確認ください。

更新の予定:施行(令和9年4月1日)までは毎月見直します。次の見直しは2026年11月です。

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