行政書士ストックビジネス研究所

行政書士の士業連携・JVの始め方一人で抱えず、お客様の経営を支える「チーム」をつくる

最終確認日:2026年10月28日(次の見直し:2027年4月)|文:行政書士ストックビジネス研究所 所長 嶋 啓二

お客様の会社の悩みは、ひとつの士業の中だけでは片づきません。 許可を取ったら、税金のこと、人を雇うこと、会社の登記、取引先とのもめごと……と、次々に別の悩みが出てきます。 このページでは、行政書士が一人で抱えるのではなく、ほかの士業・専門家と組んで「経営支援のチーム」をつくる考え方と始め方をまとめます。 いわゆる士業のJV(ジョイント・ベンチャー=共同事業)です。

30秒でわかる、この記事の結論

  • お客様の悩みはひとつの士業では完結しない。だから、チームで支えるほうがお客様のためになる
  • JVのいちばん大事な考え方は、「自分の利益より、お客様の成功を先に置く」こと
  • 組み方は紹介し合う・一緒に提案する・定期的に集まるの3つの型から始める
  • はじめに窓口・役割・報酬の受け取り方・情報の扱いを決め、紹介料などは各士業の決まりを確かめる
  • 行政書士は、事業の始まりに立ち会える「チームの入口」になれる

なぜ一人ではなく「チーム」なのか

お客様の悩みは、つながっている

たとえば建設業の許可を取った会社は、次に現場の人を採り、社会保険の手続きをし、決算と申告を迎えます。 外国人を雇う会社なら、在留手続きのあとに、労務の決まりづくりや定着の悩みが出てきます。悩みはひとつずつではなく、つながってやってきます。

一人で抱えると、お客様もこちらも苦しくなる

専門外の相談を断るだけだと、お客様は「またほかの人を探さなければ」と困ります。 反対に、無理に自分で抱えると、品質や決まりの面で危うくなります。信頼できる相手に「この人なら大丈夫です」とつなげられることは、それ自体がお客様への大きな価値です。

つながりが、次の仕事を連れてくる

チームの相手からも、行政書士の専門の仕事を紹介してもらえるようになります。 集客のなかでも、士業・専門家との連携は、同じお客様を持つ相手とお互いに紹介し合える強い方法です(集客方法ガイド)。

士業・専門家ごとの得意分野

チームを組むときは、まず「だれが何を得意とするか」を知っておきます。おおまかな目安です。 それぞれの業務の範囲は、各士業の法律で決められています。

士業・専門家主な得意分野お客様と出会う場面
行政書士許認可・在留手続きなど、官公署に出す書類事業を始めるとき・広げるとき・外国人を雇うとき
税理士税金の申告・会計毎月・毎年の決算や申告のとき
社会保険労務士労働・社会保険の手続き、就業規則など人を雇うとき・人事の決まりを整えるとき
司法書士会社や不動産の登記会社をつくるとき・役員や本店を変えるとき
弁護士法律相談・争いごとの対応もめごとや契約のトラブルがあるとき
中小企業診断士など経営の診断・計画づくり事業計画や補助金の計画を考えるとき

表の右の列を見ると、出会う場面がそれぞれちがうことがわかります。 だからこそ、組めばお互いの「入口」を分け合えるのです。

JVの考え方:自分の利益だけを追わない

士業の連携がうまくいくかどうかは、しくみより考え方で決まります。研究所が大切だと考えている4つの考え方です。

  1. お客様の成功を真ん中に置く:「だれの仕事になるか」より「お客様にとって最善か」で決める。 この順番がぶれないチームは、お客様からも、相手の士業からも信頼されます
  2. まず自分から与える:紹介や情報を「もらう」前に「渡す」。 先に役立つ人のところに、自然と紹介が集まります
  3. 得意なことに集中し、苦手なことは任せる:全部を自分でやろうとしない。 任せられる相手がいることで、自分の専門に深く打ちこめます
  4. 長く続く関係を前提にする:一件ごとの損得で考えず、何年もいっしょにお客様を支える仲間として付き合う

自分の利益ばかりを追うと、紹介は一度きりで止まります。お客様のために組むチームは、結果として、メンバー全員に長く続く仕事をもたらします。それが、毎月の収入(ストック収入)を生む事務所づくりにもつながります。

チームの組み方3つの型

型中身向いている段階
1. 紹介し合う専門外の相談を、お互いに信頼できる相手へつなぐはじめの一歩。だれでも今日から始められる
2. 一緒に提案するひとつのお客様に、複数の士業で役割を分けて提案する信頼関係ができてから。お客様の安心がいちばん大きい
3. 定期的に集まる勉強会・合同の相談会・情報共有の場を定期的に開くチームが3人以上になったら。新しいお客様との出会いの場にもなる

いきなり大きなチームをつくる必要はありません。まず一人の相手と「紹介し合う」ところから始めるのが、長続きのこつです。

はじめに決めておくこと

仲が良いほど、決めごとはあいまいになりがちです。はじめに、次のことを話し合っておきます。

※具体的な決まりは、組む相手の士業の法律・会の決まりと、所属する行政書士会の決まりで、ご自身でお確かめください。

始め方の4ステップ

  1. 自分の得意分野を一言で言えるようにする:相手が紹介しやすいように(専門分野の選び方)
  2. 同じお客様層を持つ一人に声をかける:同じ地域・同じ業種のお客様を持つ税理士や社会保険労務士など
  3. 先に役立つ:相手のお客様にも関係する制度の情報を届ける、相手の専門の相談をつなぐ
  4. 小さな成功をふり返る:うまくいった紹介や提案を、お互いに報告し合い、次の一歩を決める

行政書士ストックビジネス研究所の記事には、お客様へそのまま送れる案内文が付いています。 チームの相手へ「こんな発表がありましたよ」と届けるのも、先に役立つ一歩になります(サイトの使い方)。

チームの中で、採用支援を受け持つ

チームでお客様を支えていると、多くの会社で同じ悩みに出会います。「人が採れない」「すぐ辞めてしまう」という悩みです。

求人原稿づくり、求人サイトの運用、面接や定着の工夫といった採用支援は、士業の独占業務ではない一般のサービスです。 雇用保険・社会保険の手続きや就業規則は社会保険労務士の業務なので、採用支援は社会保険労務士の仕事とぶつからず、むしろ補い合う関係になれます。 行政書士がチームの中で採用支援を受け持てば、チーム全体でお客様を支える幅が広がり、自分にとっては毎月続く仕事になります。

くわしくは行政書士の売上アップは「継続収入」で決まるにまとめています。 採用支援の始め方は、採用定着士の無料セミナー(PR)で確かめられます。

よくある質問

Q. 士業のJVとは何ですか?
A. JVはジョイント・ベンチャー(共同事業)の略で、ここでは行政書士・税理士・社会保険労務士・司法書士・弁護士など、得意分野のちがう士業や専門家が組んで、一社のお客様の経営をチームで支えることを指します。会社をつくらず、紹介や共同の提案から始める形が一般的です。
Q. 行政書士がほかの士業と組むメリットは何ですか?
A. お客様にとっては、悩みをまとめて相談できる安心が生まれます。行政書士にとっては、自分の専門外の相談を信頼できる相手につなげられ、反対に自分の専門の仕事を紹介してもらえるようになります。お客様との関係も長く続きやすくなります。
Q. 紹介料を受け取ったり払ったりしてもいいですか?
A. 士業によっては、紹介料の受け渡しや報酬の分け方について、法律や会の決まりで制限があります。組む相手の士業の決まりと、所属する行政書士会の決まりを、はじめに必ず確かめてください。報酬はそれぞれがお客様から直接受け取る形にすると、わかりやすくなります。
Q. どんな相手と組めばいいですか?
A. 同じお客様層(業種・地域)を持ち、お客様を大事にする考え方が合う相手がいちばんです。最初は一人の税理士や社会保険労務士と、お互いの得意分野を紹介し合うところから始めると、無理なく続きます。
Q. チームの中で、行政書士はどんな役割を持てますか?
A. 許認可や在留手続きで、事業の始まりや人を雇う場面に立ち会えるのが行政書士の強みです。その場面で見えたお客様の悩みを、チームの適任者につなぐ「入口」の役割を持てます。採用支援のように、士業の独占業務ではないサービスを受け持つこともできます。

あわせて読みたいガイド

出典

各士業の業務の範囲や、紹介料・報酬の分け方の決まりは、それぞれの法律と所属する会の決まりで、ご自身でお確かめください。

更新の予定:次の見直しは2027年4月です。

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